ハン・ジュンイルの日中韓山歩記(やまあるき)

3カ国で気ままに登山・トレッキングを楽しみながら書いているブログです。どうぞ気軽にお立ち寄り下さい。
2012年1月6日
=日本の山033= 宮之浦岳(みやのうらだけ) コメント(2)読む・投稿する

 おなじみ世界自然遺産登録の地・屋久島(鹿児島県屋久島町)の中央部にある宮之浦岳は、日本百名山最南端の山であり、標高は1935m。九州・沖縄8県では最高峰、近畿以西でも3番目に高い山です。
 北緯30度、南国のイメージが強い屋久島ですが、私が訪ねたのは年末年始。冬季は登山口までの道路さえしょっちゅう通行止になるほどですから、本土の百名山と同じように雪山用の装備が必要です。

 6年も九州に住んでいたのに、一度もたどり着けなかった屋久島。2010年から伊丹−屋久島の直行便が就航したおかげもあって、私にとってはようやく足跡を付けることが出来た久恋の地です。その長年の思いに天が応えてくれたかのように、宮之浦岳への登山道は年に一度あるかないかぐらいの澄みきった青空が広がっていました。
 



 【登山日:2012年1月2日】

 沿岸部の安房(あんぼう)集落から車で延々坂道を登ること1時間余り。宮之浦岳に唯一日帰り登山が可能な淀川登山口に着きました。正式名称は「よどがわ」ですが、地元では「よどごう」と読まれることも多いようです。

(写真は下山時)

 天候が悪ければ冬はここにたどり着くことさえ不可能ですが、運良く前の数日間はまとまった雪が降らなかったようで、道路の除雪も行き届いているおかげで、スタッドレスタイヤでない軽のレンタカーでも楽々アクセスできました。

 しかし午前6時半、いったん登山口を歩き始めると、早くも地面が白くなっていきます。早々にアイゼンをはめ、まだ暗い森の中を歩きます。 
 順調だと1時間足らずで淀川小屋に着きますが、アイゼン装着にてこずって午前7時45分の到着。ここの淀川はどこかの同じ名前の川とは対照的に、小さいですが水が澄みきっています。

 次なる目的地は湿原地帯の花之江河(はなのえごう)。登山口から4.2km、宮之浦岳山頂へは3.8kmで、ちょうど中間点付近になる場所です。ぐいぐい高度を上げていくと、徐々に草木が邪魔にならず眺望が得られるポイントが増えてきました。 

 左手(西側)の山のてっぺんに見える長方形状の岩の並び。名はずばり「トーフ岩」です。

 登山道から20mほど外れた所には、行く手にそびえる黒味岳(くろみだけ・1831m)付近の山容が捕らえられる展望所がありました。

 花之江河の200mほど手前には小花之江河(こはなのえごう)という湿原もあり、ここからもトーフ岩がよく見えます。

 花之江河到着は淀川小屋からちょうど1時間の午前8時45分。黒味岳がよく見えます。
 湿原とは言っても一面銀世界。桟敷の道も完全に隠れていて、注意しないと踏み外して湿原の中に足がズッポリ入ってしまいます。


 花之江河を過ぎると、登山道は黒味岳を避けるようにして右手(南側)に迂回していきます。気温は氷点下。その分銀世界がいっそう美しくなっていきます。




 反対側(東側)に回った位置から眺める黒味岳は、樹氷と奇岩が見事にマッチして一層美しい姿でした。

 黒味岳の北側には投石岳(なげいしだけ・1830m)。この両山の間に広がる投石平には、とても投げられない巨大おにぎりのような岩が点在しています。


 投石平を過ぎるとついに、宮之浦岳をはじめ、「奥山」と呼ばれる屋久島の中央部を彩る峰々が連続して見えてきます。手前から安房岳(あんぼうだけ・1847m)、翁岳(おきなだけ・1860m)、そして宮之浦の一つ手前に栗生岳(くりおだけ・1867m)。どの山もピーク付近に特徴的な形の巨石を据え、威容を放っています。




 翁岳の西側までやってくると、北側の山稜の間から海が見えてきました。そして南側にも雲海の下に青い海。

 栗生岳への坂を上り始めると、後方(東側)は約20km海を隔てたお隣の種子島までくっきり見渡せるようになりました。そして左から翁岳、安房岳、投石岳、黒味岳の四役そろい踏み。

 この日の予報は夜まで曇りだったのに、ここまで贅沢な景色を堪能できるとは。お天道様にただただ感謝です。
 「奥山」がたっぷり雪をかぶっているのに対し、「前山」と呼ばれる海岸に近い方の山々は緑一色。その対比はまるで別々の季節が共存しているようです。

 栗生岳の山頂部に居座る巨石は、間近で眺めるとかなりの迫力でした。


 いよいよ目の前に迫ってきた宮之浦岳山頂。しかし景色が素晴らしく、ついつい足が止まってしまいます。


 そんなこんなで山頂に着いたのは午前11時半。後半は深く積もった雪に何度も足を取られましたが、それでもほぼ目標通り5時間での到達です。ポカポカ陽気のおかげで気温は既にプラスに転じていました。
 山頂から西には屋久島で2番目の高さを誇る永田岳(1886m)、その右手(北側)にネマチ(1814m)が見えます。


 宮之浦岳と永田岳、そして黒味岳または栗生岳のいずれかは総称して「三岳」と呼ばれ、焼酎の名前にもなっています。願わくば全て登頂したいところですが、この厳しい冬山の中で最高峰を制覇できただけでも万々歳。またいつかこれらの山も訪ねたいと考えつつ、来た道を引き返します。

 登山時には真っ白だったはずの山並みが下山時には一気に緑へと色を変え、全く違う季節に訪ねたかのような得した気分を味わえました。


 淀川小屋から淀川登山口までの道中では、まだ午後4時前なのに月がこんなに明るく出ていました。


 午後4時過ぎに下山完了。淀川登山口から数km坂を下りた所にある川上杉(推定樹齢2000年・27m)や紀元杉(樹齢約3000年・19.5m)も見物しました。

 1時間余りの山下りドライブは、前山の中でも山容が美しい愛子岳(1235m)や明星岳(651m)の眺め、さらには路上に現れたヤクザルたちにオーシャンビューと、お楽しみがいっぱいでした。





 面積505平方km−−−東京23区や琵琶湖よりも小さいのに、その中に熱帯から冷帯までのありとあらゆる植生が見られる屋久島。雪山登山を体験した1時間半後にはブーゲンビリアの咲く宿泊先に戻るというのは実に不思議な感覚で、冬季にしか味わえない屋久島の魅力に触れられた気がします。
 365日のうち360日は雨が降るといわれるこの島で、これだけの好天のもと山行が出来た私は本当に幸せ者でした。他の季節に比べれば観光客がまばらで、登山客はそれに輪をかけて少ない冬の屋久島ですが、それだけに一層、この美しさを少しでも多くの人に伝えたいなと思います。


▲これまでに紹介した山・名所の一覧▲


★紅葉八十八カ所一覧★



更新 2015年3月1日 11:38:57

冬の屋久島

屋久島は南の島だから常夏のような気がしていました。
標高は1935m。石鎚山ぐらいあるのですね。
宮之浦岳へ登ることができた喜びが伝わってきます。
今年もどうぞ宜しくお願い致します。
2012/01/06 21:46:50
>りんごさん<

 コメントありがとうございます。こちらこそ本年もよろしくお願い致します。
 屋久島に行く前、宮之浦岳に登頂できる確率は半々と考えていました。天候がおかしくなってきたらいつでも撤退する覚悟でしたし、服は上下ともに4枚ずつ着込んで、韓国陸軍の友人からもらった防寒用マスクもかぶり、日帰り登山計画なのに万が一のため寝袋や2日分の非常食も用意して行きました。
 こんなに順調に山行を終えられたのは本当に幸運だったとしか言いようがなく、既に今年1年分の運を使い果たした気分です(笑)。
 屋久島は面白いことに、宮之浦をはじめ永田・栗生・安房など、海岸部の集落の名前が山名にもなっている例が多く見られます。宮之浦岳登頂だけではまだ屋久島をくまなく知り尽くしたことにならない気がするので、ぜひとも再度訪ねてみたいです。
2012/01/07 01:20:45
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