ハン・ジュンイルの日中韓山歩記(やまあるき)

3カ国で気ままに登山・トレッキングを楽しみながら書いているブログです。どうぞ気軽にお立ち寄り下さい。
2019年6月22日
=中国の山027= 剣門関(Jianmenguan) コメント(2)読む・投稿する

 四川省北部の広元(Guangyuan)市、省都・成都と古都・西安の中間あたりに位置する剣門関は、中国の歴史上たびたび戦場として登場し、火器の無かった「冷兵器時代」には一度も正面突破されたことがなかったという難攻不落の要所です。特に三国時代には蜀の武将・姜維らが数では圧倒的優位に立つ魏軍を打ち負かしたことで知られ、杜甫と並び称せられる唐代の大詩人・李白もこの地を訪ね「蜀道難」という詩を残しました。


両側を険しい崖に挟まれているのですが、その岩壁の上も観光ルートが整備されており、そのスリリングな景観は中国の名だたる山々に勝るとも劣らない規模。観光エリア一帯は「剣門蜀道」と呼ばれ、2019年現在で中国に244カ所ある「国家級風景名勝区」のうち、1982年に最初の44カ所として選ばれたほどの場所ですので、山のカテゴリーで紹介します。



【訪問日:2019年6月16日】

タイムテーブル
西安北駅07:50-(高速鉄道)-10:20剣門関駅10:33-(バス)-10:44剣門関客運站10:51-(バス)-11:08剣門関南門-(周辺散策・休憩)-11:35南門から入場--11:53関楼--12:19雷鳴橋--12:35天梯峡--13:04梁山亭ジップライン駅--13:33小穿洞--13:43大穿洞--14:11二号ロープウェイ山上駅--14:17長空玻璃桟道--14:34梁山寺--14:50翠屏峰--15:12梁山寺--15:35鳥道(下り始め)--16:04猿揉道入口--16:22二号ロープウェイ山下駅--16:37石筍峰16:47--16:50一線天--17:08仙雲客桟--17:23関楼--17:35詩仙橋--17:51地質博物館--17:59北門


 高速鉄道の西安北駅から途中4駅停車の列車で2時間余り、剣門関駅に到着しました。バス乗り場は地下にあり、剣門関の観光エリア(景区)に直通する「7路」は今日は運転しないと言われたので、代わりに勧められた「2路」に乗車。終点のバスターミナル(客運站)で風景区行きのバスに乗り換えました。ちなみにこれらのバスは全て純電動でした。


 景区には「北門」と「南門」があるのですが、まずは剣門関のシンボル「関楼」により近い南門前で下車。

 入場料(門票)は110元。南門から森の中の遊歩道を1km余り歩くと、早くも関楼が見えてきました。



 関楼が近づくにつれ、両側の切り立った崖も眼前に迫ってきます。関楼は下をくぐるだけでなく上に上がることもでき、最上階にはこの地にゆかりのある歴史上の武将らの彫刻画が並んでいました。



 関楼の向こう、北側へと足を進めていくと、石段越しや急流の向こう側に関楼を眺められるスポットもあり、ここが難所たるゆえんが垣間見えます。


 東側に立ちはだかる崖、そこに見えるV字谷のような切れ間「天梯峡」−−−。次はここを目指すことにしました。


 つり橋を渡り、竹林を越えると峡谷の内側へ。そこには人一人がようやく通れるほどの隙間しかない崖伝いの道もありました。


 急勾配の道を上って崖のてっぺんを目指していくと、峡谷の反対側にはまさに壁に貼り付けたかのような、ほとんど足場がなさそうな所に無理やり建てられたような山道が。更には崖の上の方から悲鳴とも歓声とも取れるような声が聞こえてきました。




 高低差約170mというこの天梯峡、なんとジップライン(滑索)というワイヤー2本につながれた滑車で渡ることが出来るのです。こちら側の崖「梁山亭」ともう一方の崖「姜維城」の双方から乗車でき、片道30元。私は「やはり命は惜しい」と断念しましたが(苦笑)、歩けば急激な上り下りが3km弱続くこの峡谷の間が、怖いもの知らずな人ならわずか180m、20秒ちょっとで渡り切れてしまいます。

 鳥瞰図の案内板で見ると、この天梯峡はまさに「割れ目」。いかに極端な地形かがうかがい知れます。

 ここからは崖の上の世界。剣門関の「歴史的背景」よりも「山の風景」目当てで訪ねた私には、より大好物な景色が待ち受けていました。山頂付近にある梁山寺までの緩やかな上り坂の道中は随所で視界が開け、新緑に包まれた峡谷部、そして西側にはこれまた極端に垂直な崖を持つ山並みが一望できます。

 道中では「小穿洞」「大穿洞」という二つの洞穴−−−とは言っても「穿つ」の字が含まれていることからも分かるように、両側から出入りできるトンネルのようなスポットがあります。




 ロープウェー山上駅にたどり着くと、すぐそこに待ち受けていたのは「長空玻璃桟道」。近年になって中国のあちこちの山で造成されている、崖伝いに続くガラス張りの道です。この日は曇天だったため、幸か不幸か崖下はスケスケと言うほどよく見えませんでしたが、やはりここでも周囲の山並みや眼下の緑に包まれた村落の風景は壮観でした。



 標高約1200m、ほぼ山頂と言っていい場所にある梁山寺は境内はさほど広くないものの、中庭にあるアジサイが見ごろで鮮やかでした。その中庭の中心には、樹齢1000年ともいわれる呼ばれるサルスベリの古木が立っています。ちなみにサルスベリは中国語では「紫薇」。日本語の響きとは全くイメージが異なります。

 この後、坂を1km余り下り「翠屏峰・翠屏湖」というエリアを目指しました。実はこのエリアに入場するために20元高い130元のチケットを買っていたのですが、道中にチケット提示を求められる場所は皆無。しかも翠屏湖へは遊歩道補修中のためたどり着けず、翠屏峰も遠目に見えただけ。肩を落としつつ梁山寺へと引き返しました。


 しかし、がっくりしたのも束の間、霊山寺から数百m下、上ってきた時に「なんだこの細い道は」と気になっていた「鳥道」。ここを下ることにしましたが、これが想像以上の険しさでした。



 人一人通るのがやっとの崖伝いの道、手すりの外側は奈落の底、それが終わったかと思うと待ち受けていたのは急激な下り坂−−−。眺めこそ壮観でしたが、かなりの気力・体力を要するコースです。

 鳥道を下り終えてから見上げると、同じ崖の横にはさらに険しい、ロッククライミングと同等の装備が必要な有料コース「猿猱道」の全容が現れました。これはさすがに挑戦する気にはなれません・・・。


 山道を下り切って関楼へと引き返す道中にも、見上げれば切り立った崖が続いていました。途中に「石筍峰」という奇岩があったので、これを上から下から眺めるためにまたちょっぴり登山しなおしました。


 中国各地の山々に同じ名前のスポットがある「一線天」。ここ剣門関にもありました。巨岩が縦から切り裂かれたかのように、一筋の光が差し込む岩間を歩く感覚は、やはり醍醐味があります。

 こうして再び関楼に戻ってきました。雨もすっかり上がり、晴れ間が差し掛かった後に眺める姿はまた違った味わいがあります。ここからの帰りは、来た道とはまた違う北門の方へと向かいました。道中では何カ所か橋が架かっていて、橋上から仰ぐ山並みも壮観でした。


 北門を出るとこれまで登って来た山並みの全体像が見えてきて、これまた格別。また、付近には「豆腐宴」と銘打った飲食店が立ち並んでいました。おそらく剣門関の名物で、様々な豆腐料理が味わえるコースなのでしょう。この日は時間がありませんでしたが、また余裕を持って訪ねられた時に味わいたいものです。





 今回改めて気づかされましたが、やはり剣門関のように迫り来る岩壁を誇る観光名所は、光と陰のコントラストがあまりない曇天の方が狙い目だと思います。その点で今回は判断が見事に的中。天気予報に感謝した一日でした。
 剣門関駅の近くでも橋の上から望む周囲の山々が見事だったので、帰りの列車の時間までしばらく散策しつつ余韻に浸りました。



▲これまでに紹介した山・名所一覧▲


★紅葉八十八カ所一覧★



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更新 2019年7月25日 22:55:26


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